オーケストラ

このアルバムで演奏しているジャズオーケストラは、全てDAW上で動作する”ソフトウェア音源”を使用した、いわゆる「打ち込み」で制作しています。


「後はミックスを残すのみ」で息絶えた、前のメインDAW-PC

制作の流れは、まず曲を作ってアレンジをして、その上で「スコアリング」と呼ばれるホーンセクションのアレンジを施します。

ここまでは本物のジャズオーケストラと全く同じで、そこからPCとDAWソフトウェアを使用した「打ち込み(プログラミング)」の作業になります。
そして、この部分からは「音楽家の技術」とはまた違う「打ち込みの技術」というものが必要になってきます。


これ無しではお話にならない
Sample Modelingのモデリング・ホーン音源

リアルなオーケストラを作成する上では「まとまった最終的な音をイメージする」ことが大切ですが、打ち込みで再現するには「細かなディテールにこだわる」ことが重要だと思います。

建築の世界では「神は細部に宿る」と言われますが、音楽制作でも同じです。

例えばホーンセクションは9つのパートで構成されていますが、「一つ一つのパートなんてほとんど聴こえないから」と適当に作ると、最終的なクオリティにそのまま跳ね返ってきます。

一つ一つのパートをじっくりと丁寧に仕上げてゆくことで、作品に「神が宿る」のだと思います。


もちろんボーカル(ボーカロイド)の打ち込みも同じです

とは言え、闇雲にリアルな打ち込みをしていてもダメで、一曲だけならまだ良いのですが、今回のように複数曲を制作する場合は「曲同士の統一感」がなくなってしまいます。

そこで今回は、9つのパートそれぞれに予め「個性」を頭の中で設定しておきました。

そこで、今回はこの脳内オーケストラをChiquewa (virtual) Jazz Orchestraと名付けて、「あたかも全曲同じメンバーで演奏したように」制作してみました。




それではせっかくですので、そのメンバーをご紹介しましょう。


トランペット セクション
使用音源:SampleModeling The Trumpet (V2)、N.I. Kontakt5 Factory Preset、Steinberg HalionSonic SE

・第1トランペット:セクションリーダー。速いフレーズが得意だけどハイトーンが少し苦手。ソロも吹けるしメローなフレーズも得意な万能選手。
・第2トランペット:難易度の高いセカンドパートを流暢に演奏する技巧派。ハイトーンも得意。
・第3トランペット:安定した発音と演奏だけど、速いパッセージが少し苦手。


トロンボーン セクション
使用音源:SampleModeling The Trombone、N.I. Kontakt5 FactoryPreset

・第1トロンボーン:セクションリーダー。安定した発音と演奏。長音の安定性がピカイチ。今回はソロはなかったけど、安心のソロ演奏が持ち味。
・第2トロンボーン:第1ほどではないけど、長音のピッチの安定性は極めて高くて、演奏能力は総合的にかなり高め。変態。
・第3トロンボーン:ピッチが少し不安定だけど、発音が力強い。少々粗削り。


サックス セクション
使用音源:AudioModeling SWAM The Saxophone、N.I. Kontakt5 FactoryPreset

・アルトサックス:セクションリーダー。何でも吹けちゃうテクニカルプレイヤー。ソロもメロディアスに吹ける。タイム感が独特。
・第1テナーサックス:メロディアス命で、オーケストラなのにビブラート多めで吹いちゃう典型的ジャズ吹き。ソロパートが得意。セクションは好きじゃない。
・第2テナーサックス:ハイテクプレイヤーで、メカニカルなフレーズが得意。速いフレーズが得意だけど、メローに吹くのが苦手。ビブラート少ない。
・バリトンサックス:恐るべし肺活量で、ベーシーなフレーズもガンガン吹く。普段はアルトを吹いてるので、パラパラと吹くのも得意。

※ サックスパートは通常バリトンが必要な曲ではアルトがバリトンに持ち替えて「テナー、テナー、バリトン」という編成になることが多いのですが、今回唯一バリトンを使用したtr.7『Sing For You』では欲しいサウンドの関係上「アルト、テナー、バリトン」にしています。



・・と、こんなことを頭の中で妄想しつつ制作していたおりました。

そんな執念の集大成を是非聴いてみてあげてください!



(C)2019 Chiquewa - Sasakama Studio